2020年8月6日木曜日

森林について(後編)

 山で大変なことは、どんなに暑くても長袖で作業しなければならないことです。ハチもいます。夏は山専用の蚊取り線香を使うのですが、けむいです。
 
 また、作業を人に教えるのは難しいです。これについてはこんなエピソードがあります。17年ほど前、神奈川森林財団の間伐のボランティアに参加した時のことです。
間伐は3人ずつのグループに分かれて作業します。インストラクターに「あなたは何回もボランティアに来ているから、ボランティアに初めて来た2人に教えてあげてください。あの山仕事のサークル活動に入っているあなたなら大丈夫でしょう」と言われました。

 この2人の人たちは40歳くらいと70歳くらいの人でした。作業が始まって私は「みなさん初めてですから、まず練習のためにこっちの細い木を切ってみましょう。」と言ったのですが、40歳くらいの人は、そこいら辺にある一番太い木を指さして、「いや、ぼくはこっちの太い木を切ってみたいんだ」と言ったのです。70歳くらいの人は、「まあいいじゃないか。」と言って40歳くらいの人に賛同しました。2人はあまりにやる気なので、私は何も言えなくなってしまい、太い木の方を切ることになりました。でもそのうちに3人とも疲れてしまい、最後まで切れませんでした。
 そこで、インストラクターを呼ぶことにしました。インストラクターも「この木は大変だね」と言って、人を集めて最終的には10人がかりでやっと木を切り倒しました。
人は思い通りにならないことが分かり、人に仕事を教えるのは難しいと感じました。インストラクターも人手不足なので問題だと思うのですが…。
 ちなみに自分で言うのもなんですが、私が入っている山仕事のサークル活動は神奈川県で一番有名らしくて、勧誘でしか入れないため入会するのが難しいと言われているそうです。私が入会したのは神奈川森林財団に入って10年たってからです。仕事ぶりなどを見て決めているみたいです。

 今、山で作業する人が高齢化しているのが問題になっています。森林インストラクターが「体力の限界だから若い人に来てほしい」とおっしゃっていました。若い人は「山仕事はきつい仕事だ」と思っているし、他にやりたいことがあるのだと思います。でも作業は午前中だけなので、家に帰って来てから好きなことをする時間があります。ですから、もっと参加する人が増えてほしいです。

 また、木製品や竹製品の需要が少なくなったのも問題です。例えば、ものさしがプラスチックになってしまったことや、竹とんぼや竹馬で遊ばなくなってしまったこと、竹かごを使わなくなってしまったこと、家を建てるのに外国の熱帯雨林の木を使っていることです。特にこれで、杉やヒノキが山にいっぱいある状態になって、間伐や枝打ちしないまま残っているため、花粉症が増えているのかなと思います。
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作業前

作業後(2時間半後)

 ヒノキの間伐材にはいろいろな利用法があります。入浴剤や、防虫剤にもなります。コースターや鍋敷きもできます。
 私は竹細工で下の写真のようなお魚を作りました。プラスチックより、竹を使った方が環境にも良いですし、温かみがあると思います。昔は竹をいろいろなことに使っていましたが、今は需要がないので、よけいに竹林が荒れるそうです。ヒノキや竹を使う方法をこれからは考えていく必要があると思います。