エリーです。今回は2021年10月のショパン国際ピアノコンクールで反田恭平さんと並んで2位に輝いた、アレクサンダー・ガジェヴさんの「第18回ショパン国際ピアノコンクール・ライヴ」のCDについて書きます。(アレクサンダー・ガジェヴさんの名前の読み方は、アレクサンデル・ガジェヴと表記する場合もあります。)
アレクサンダー・ガジェヴさんの演奏については「ショパンコンクールを聴いて」というブログにも少し書かせていただいたのですが、YouTubeとはまた違った感じがしました。
このCDは反田恭平さんのCDと同じように、第1次予選~第3次予選と本選までの演奏が入っていて、2枚組になっています。
「バラード第4番 ヘ短調 Op.52」は変奏曲になっているようで、主題の変わっていく部分の演奏が良い感じでした。
私は「練習曲 第22番ロ短調 Op.25-10」もとても良い曲だと思いました。
そして、「前奏曲 嬰ハ短調 Op.45」はピアノの響きが美しくてロマンティックでした。太陽の光に当たっている朝露のきらめきのように感じられます。
「舟歌 嬰ヘ長調 Op.60」は、澄んだきれいな水の上で小舟の揺れている感じが伝わってきます。波というのは水の動きで、形が変わるものです。同じ波は2度と来ません。ガジェヴさんの演奏はそれと同じように、同じ旋律を弾いていても違うように聴こえます。ショパンの詩が聞こえてくるような演奏で聞き惚れてしまいました。
「ポロネーズ第5番 嬰ヘ短調 Op.44」はリズムがとても良いと思いました。演奏時間は10分27秒あるのに聴いていて飽きなくて、曲の長さを感じさせません。誠に素晴らしい演奏だと思います。
「バラード第2番ヘ長調 Op.38」の演奏も美しくて好きです。
「ピアノソナタ第2番 変ロ短調 Op.35『葬送』」は、第1楽章や第2楽章の演奏がとてもリズム感があって、飽きずに聴くことができました。有名な第3楽章も、重く深刻な感じがしなくて美しかったです。反田さんの「ピアノソナタ第2番」とはまた違った魅力があります。反田さんは重厚で力強くかっこいい感じですが、ガジェヴさんはピアノを美しく繊細に響かせる感じの弾き方で、エレガントです。同じ曲を弾いても全然違うことが分かりました。ガジェヴさんは最優秀ソナタ賞も受賞されたそうです。
「ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 Op.21」は第2楽章が有名です。この曲はショパンが恋人とうまくいっていた時に作られた曲だそうです。演奏を聴いていると、恋人と一緒で幸せな感じが伝わってきました。
全体としてガジェヴさんの演奏はピアノの音がきれいで、繊細で優雅です。芸術家だと思います。ガジェヴさんの他の演奏も聴いてみたくなってしまいます。
先日テレビ番組の「題名のない音楽会」に、アレクサンダー・ガジェヴさんと反田恭平さんのお二人が出演されていました。番組では、ガジェヴさんと反田さんのとても仲が良い様子が感じられました。「一緒に入賞できるといいね。」とコンクールの直前に反田さんが話されていて、そうしたら結果は同じ2位だったそうなのです。
ガジェヴさんは、反田さんの演奏する「ノクターン第17番」を初めて聴いた時の印象として、「すごく抒情的で詩的な情緒豊かな演奏だなと感じました。聴いていると、私の目の前に大きいのに動きがない静寂に包まれた湖の風景が広がり始めます。最も美しい光景です。」とおっしゃっていたのです。ガジェヴさんはとても感性の鋭い方でいらっしゃいますね。
反田さんは「そんなこと言われると緊張しちゃいます。」とおっしゃっていて、面白かったです。
私もこのお二人のようにピアノが上手くなりたいと思いました。