エリーです。今回は楽しみにしていた北京オリンピックのフィギュアスケートについて書きたいと思います。
まずは団体戦です。坂本花織選手は、ジャンプが完璧で表現力があり見ていて飽きなかったです。特に海外で評判が良いようで、「こういう演技が見たかった」という人が多いようです。鍵山優真選手も完璧でした。宇野昌磨選手は、ジャンプは全部決まりましたが、スピンとステップでレベルを落としてしまい残念でした。今回はカップル競技の成績が良かったので、日本は団体戦3位になりメダルが獲得できて良かったと思います。
あと、団体戦で良かった選手は中国の金博洋選手です。曲は「ボレロ」でした。「表現力が課題」と言われてきた選手ですが、今回は体の動きがよく音楽に合っていて良かったです。
そして、次は個人戦です。男子のショートプログラムの中で私が気に入ったのは、韓国のチャ・ジュンファン選手です。動きにキレがあり、とてもかっこいいショートプログラムでした。
しかし、羽生結弦選手は4回転サルコウが1回転になってしまい残念でした。本当にまさかのミスです。こんな失敗をしたら、普通は動揺してしまって最後まで滑れないと思います。羽生選手はその後のジャンプが完璧にできたのはすごいことだと思います。
その後の男子フリーで私が気に入ったのは、スウェーデンのニコライ・マヨロフ選手の演技です。曲は「仮面の男」で、私の好きな曲です。この選手には4回転がないので、順位は21位で低いです。でも、全体的に表現力があり、特に後半のステップの踏み方が上手かったです。曲に合わせて、力強い表現も柔らかい表現もでき、曲調によって場面を演じわけることができます。演技後もガッツポーズが出ました。この選手の演技構成点は私が思ったよりも低かったので、もうちょっと表現力が評価されてもいいのではないかなと思いました。私の「良かった」という基準が他の人とは違うのかも知れませんが…。もう一度見たいと思いましたが、北京オリンピックのYouTube動画を検索しても出てこなくて残念です。
宇野昌磨選手は冒頭の4回転ループがきれいに決まったのは良かったです。でも、ちょっと助走が長いのが気になりました。難易度の高い4回転を跳ぼうとすると、その分助走が必要になり、助走の間の音楽表現がおろそかになってしまうのでしょうか。正直言うと、例えばニコライ・マヨロフ選手のような、難易度の低いジャンプを跳ぶ選手の方が見て面白いような気がしました。
でも、宇野選手の場合はそれだけが原因ではないようです。宇野選手のYouTubeチャンネルで、「子どもの時は左手で曲を表現できたのに、最近左手で表現出来なくなった」と話されていました。なぜ左手で曲を表現出来なくなったのかよく分からないようです。
私は以前、「フィギュアスケートについて」というブログを書き、「宇野選手は4回転ジャンプを跳ぶためだけに、スケート靴の刃を中心からずらしている。そのせいで宇野選手の姿勢が悪くなってしまったのかも知れない」ということを述べました。正確に言えば、右足の刃はやや外側で、左足の前の刃は内側にしているそうです。
この左手の問題もまた、スケート靴の刃が関係しているのかも知れません。
宇野選手の子どもの頃の演技「ツィガーヌ」や「Steps」と、2018年の全日本選手権での「月光」のプログラムを見比べると、「月光」の方は宇野選手の左手があまり動いていません。まるで左手だけ麻痺してしまったかのように、ちょっと不自然に感じられる時があります。
このように過去のプログラムを見て検証してみると、宇野選手が4回転ジャンプを跳べるようになった時期と、左手で表現出来なくなった時期が一致することが分かりました。つまり、スケート靴の刃を中心からずらすことによって、4回転ジャンプは跳べるようになりましたが、その代わりに左手の表現力を失ってしまったのだと思います。
宇野選手は銅メダルを取っても、ステファン・ランビエールコーチに「これは私の振り付けしたボレロじゃないね」と言われてしまったそうですし、エキシビションでも「体がついていかなかった」とインタビューに答えられていました。もしかして宇野選手の左手はだんだん麻痺してきているのではないかと、ファンとしては心配になります。左手で表現出来れば演技の印象も全然違うと思いますし、普通に考えても左右違う靴を履くのは体に良い影響を与えないと思います。ですので、私は早くスケート靴の刃を中心に戻して演技してほしいです。
羽生選手は足のケガで本来の力が出せなかったようです。羽生選手は4回転アクセルの練習で捻挫していて、本当なら棄権するほどのケガだったそうです。私は「無理しない方が良かったのに」と思います。
女子はロシアのカミラ・ワリエワ選手のドーピング問題が残念でした。でも、全体的に表現力のある上手な選手が多くて良かったです。
坂本花織選手はトリプルアクセルも4回転もない選手ですが、銅メダルを獲得されました。これはすごいことですし、応援していた私もうれしいです。
紀平梨花選手は腰などを痛めていて、オリンピックに出られないのが残念でした。紀平選手のケガは簡単に治るようなケガではないそうです。
紀平選手に限らず、4回転ジャンプを跳ぶ選手は腰を痛めやすいようです。金メダリストのエフゲニー・プルシェンコさんや、イリヤ・クーリックさんも選手時代に腰を痛められています。
選手が足腰を痛めてからプロになるのでは本調子で滑れないことになりますし、またアイスショーでのお客さんの入り方も違ってくると思います。
私はやはり4回転ジャンプを禁止するか、または高校野球に球数制限があるように、フィギュアスケートの4回転ジャンプの数も制限した方が良いと思います。
日本のコーチはトリプルアクセルとか4回転ジャンプを重視するようです。多分、日本では表現することが苦手な選手が多いため、難しいジャンプを跳ばないと勝てないと考えているのだと思います。
でも、外国のコーチは表現力も重要なことと考えているようです。宇野選手のコーチであるステファン・ランビエールさんは、「4回転ばかりのジャンプ競争は、選手の教育に良くない」とおっしゃっているそうです。
昔は採点基準が違っていて、技術点と演技構成点の満点が同じでした。ですので、フィリップ・キャンデロロ選手は4回転ジャンプを跳ばなくてもオリンピックで銅メダルを獲得することができました。
また、イリヤ・クーリックさんは4回転ジャンプを跳ばなくても表現力が良かったため、NHK杯で優勝されているのです。(多分その後のオリンピックに向けての4回転の練習で腰を痛められたのではないかと思いますが…。)
今更全部3回転にしたらレベルダウンじゃないかと思われるかも知れませんが、私はやはり選手のケガが多いのが気になるのです。
私はこの北京オリンピックを見ていて、やはり採点基準をもうちょっと変えた方が良いと思いました。
あと、外国は子どもを個性的に育てるから表現力が身に付きやすいですが、日本では子どもをみんな同じように育ててしまいます。日本でも子どもを個性的に育てれば、表現力が身に付いて4回転なしでも勝負できるようになり、フィギュアスケートはもっと見ていて楽しいものになると思います。