2020年4月2日木曜日

私の好きな百人一首の和歌

 こんにちは。エリーです。今回は私の好きな百人一首の和歌を紹介します。
 まず、「ちはやぶる神代も聞かず龍田川 からくれなゐに水くくるとは」(在原業平朝臣)です。これは、「不思議なことの多かった神代にも聞いたことがない。龍田川が、水を美しい紅色にくくり染めにするなんて。」(*1)と言う意味です。水面が唐紅に染まったもみじにおおわれ、流れていく様子を表しています。
 また、「山川に風のかけたるしがらみは 流れもあへぬ紅葉なりけり」(春道列樹)も同じようなもみじの風景の和歌です。
「山の中の小川に、風がかけたしがらみは、流れきれずにたまっている紅葉だったのだなあ。」(*1)という意味です。
 私はもみじが大好きです。水の上を真っ赤なもみじが流れていく様子は、とても美しい風景だと思います。今は川の周りなどがコンクリートになっていることが多いので、ちょっと残念です。昔の風景を見てみたいと思います。

 あと、「かささぎの渡せる橋に置く霜の 白きを見れば夜ぞ更けにける」(中納言家持)も好きです。
「かささぎの群れが翼を広げて、橋をかけたという言い伝えがある天の川。その橋がまるで霜が降りたかのように真っ白に見えたことから考えると、もうずいぶん夜も更けてしまったことだなあ。」(*2)という意味です。「かささぎの渡せる橋」というのは、七夕の夜、かささぎが翼をならべて天の川に橋をかけ、織姫を彦星に渡すという伝説を表しています。
 家持は、冬の夜に霜が降りたかのように美しい天の川を見て、感動して和歌にしたのですね。私も小学校のキャンプで夏の美しい星空を見て感動した経験があります。今、都会ではなかなか美しい星空や天の川を見ることはできないので残念です。

 最後に一番好きな和歌を紹介します。
「村雨の露もまだひぬ槇の葉に 霧たちのぼる秋の夕暮れ」(寂蓮法師)です。「にわか雨が通りすぎ、そのしずくもまだかわかない真木の葉のあたりに、早くも霧がほの白く立ちのぼっている、秋の夕暮れであるよ。」(*2)という意味になります。
真木とは杉、ひのきなどまっすぐに伸びる樹木の総称です。
 雨の後、杉やひのきなどの針葉樹の、たくさんのとがった葉の先についた露はとても美しいです。また、その上に霧が立ちのぼる風景も美しいと思います。
 私は星が好きで社会人の天文同好会に入っていたことがあり、色々な場所に行きました。霧と言えば、天文同好会の合宿で見た、真っ白い霧の中の白樺の木々が、とても幻想的で美しかったことを思い出します。
 
 この和歌の情景の「杉やひのきの葉に露がついた絵」を描いてみました。絵は下手かも知れませんが、私の描いた絵を見ながら情景を思い浮かべてみてください。きっと私の紹介した和歌が好きになってくれることでしょう。
 
杉やひのきに露がついた絵
(*1)は、「知識ゼロからの百人一首入門」(有吉保)(幻冬舎)、(*2)は「小学生のまんが百人一首辞典」(神作光一監修)(学研プラス)から引用しています。