2021年11月1日月曜日

ショパンコンクールを聴いて

 エリーです。今回はショパンコンクールについて書きたいと思います。ショパンの曲は夢のような美しい旋律で、私は好きです。知り合いにもらったショパンの夜想曲のレコード(アルトゥール・ルービンシュタインさん演奏)を中学校の頃よく聴いていました。

 ショパンコンクールは5年に1回開かれるのですが、新型コロナウイルスのため1年延期になり、今年開催になりました。1次予選~3次予選、その後本選があります。YouTubeで聴くことができます。

 今回は日本人ピアニストが多かったです。私はその中の牛田智大さんのコンサートに2回ほど行ったことがあります。しかし、今回は雰囲気にのまれてしまって思うような演奏ができなかったそうで、2次予選で落とされてしまい残念でした。

 私が聴いてとても良かったのは、角野隼斗さんの演奏です。角野さんの2次予選はミスタッチがあったようですが、それでも私はとても上手な演奏だと思いました。「英雄ポロネーズ」と「華麗なる大円舞曲」「バラード第2番」が良かったです。私は特に角野さんの「バラード第2番」の演奏がとても好きです。「『バラード第2番』ってこんなにいい曲だったんだ」と初めて思いました。角野さんのコンサートに行きたくなりました。しかし、3次予選で落とされてしまい残念でした。

 他に2次予選の演奏で私の心に残ったのは、イタリアのアレクサンデル・ガジェヴさんの演奏です。きれいな音で演奏されていました。「舟歌」はとても美しく、ずっと聴いていたい気分にさせられました。「バラード第2番」も美しく静かでリズム感があって良かったです。落ち着いて演奏されているようでした。

 反田恭平さんは3次予選で思ったような演奏ができなくて号泣されたとのことですが、私はとても素晴らしい演奏だと思いました。特にピアノソナタ第2番「葬送」が良かったと思います。

 本選では反田恭平さんと小林愛実さんの演奏を聴くことができました。小林愛実さん演奏の「ピアノ協奏曲第1番」はロマンティックで、良かったです。

 反田恭平さん演奏の「ピアノ協奏曲第1番」は圧巻でした。私は聞き惚れてしまいました。とにかく反田さんの技術が高いというか、ピアノが本当にお上手なんだなと思います。聴いていて飽きないし、とてもいい曲だなと感じました。

 まず、ピアノが始まる前にオーケストラから始まるのですが、オーケストラの演奏も美しかったです。反田さんのピアノは失恋で泣いているようなショパンに聞こえました。この曲はホ短調で悲しいメロディーです。ショパンは「ピアノの詩人」と呼ばれているので、反田さんの「ピアノ協奏曲第1番」の演奏を直訳(?)して詩のようにしてみたいと思います。

 (私としては「この旋律はこういう詩」というように旋律ごとにショパンの心情を読み取って音楽付きで訳したいのですが、文章だけでは表現できなくて残念です。)


ピアノ演奏の冒頭は、

「ああ、僕は失恋した。今絶望している。とても悲しい。あなたはなぜ振り向いてくれないのだろう。あなたが恋しい。なぜ僕じゃだめなのだろうか?」

と言っているように聞こえます。左手の奏でる旋律が流れ落ちる涙のようです。


また、ピアノの曲調が明るくなる長調の部分では、

「僕は恋をして本当に幸せだった。あなたと一緒に過ごした時間はとても楽しかった。それはきらめくような美しい思い出だ。これからもあなたと一緒に生きていきたいと思っていた。」

という感じに聞こえます。


そして、曲が短調に戻ると、

「でも、あなたは僕のもとを去っていってしまった。僕は毎日泣いている。あなたのことが忘れられないからだ。僕はこんなに尽くしているのに…。愛しているのに…。あなたは僕の前では笑顔を見せなくなった。他に好きな人がいるのだろうか?」

という感じです。

 

 長調の部分と、短調の「でも、あなたは僕のもとを去っていってしまった。」の部分の切り替わり方が絶妙で、自然に流れるようでした。ショパンがもし生きていたらこの演奏を絶賛したのではないかと思います。

 そして、その後激情がほとばしるような力強い演奏になります。力強いと言っても鍵盤をたたきつけるような演奏ではなく、あくまでショパンの心情を表現しているようでした。

 

 私はこの曲を聴いて泣けてきました。反田さんの「ピアノ協奏曲第1番」はドラマティックな演奏で、心に訴えかけるようなものがあり素晴らしかったです。ショパンの詩が感じ取れる演奏で、こういうのは今まで聴いたことがありません。

 この演奏で曲が終わる前から拍手があって、スタンディングオベーションでした。

 本選の結果、1位の方はカナダのブルース・シャオユー・リウさんでしたが、あまり有名な曲の演奏がなかったので、私にはよく分かりませんでした。

 反田恭平さんとアレクサンデル・ガジェヴさんは2位で、小林愛実さんは4位でした。反田恭平さんが優勝できなかったのはとても残念ですが、これから頑張ってほしいと思います。今回のショパンコンクールは素晴らしい演奏が多く、聴いて良かったと思います。

 コロナが収まってくれたらコンサートに行きたいです。